Articles

オーストラリアとオセアニア

In Uncategorized on 5月 15, 2011 by nows22

日本の学校では「オーストラリアは、オセアニアの一部」であると教えており、一般にもその様に思われているようです。「もしかするとこれは間違いではないか」と考えてみましょう。これについて、インターネットで検索してみました。すると、ほとんど全部の日本語のページが上記を前提として(オーストラリアのことをオセアニアと思っている人もいました)いろいろなことが語られておりました。しかし、この定義は、国により、学術分野により、または時代により違ったものとなっているようです。

 日本語のWikipediaで調べると、オセアニアとは六大州(Wikipediaの別のページで確認すると、六大州とは、アジア・欧州・アフリカ・北米・南米・オセアニアとされている)のひとつである。そして、「狭義には、ニュージーランドを含むポリネシア・ニューギニアを含むポリネシア、そしてミクロネシア全体を含む」と書かれている。また「広義には、オーストラリアとオーストラリアの近くのインド洋上の島も含む」、「また稀に英米仏領以外のオセアニアをアジアに含める場合もある」と定義が続く。そして「ここでは広義のオセアニアを扱う」としている。 英語のWikipediaを確認すると、まず「熱帯太平洋とし、南洋のからメラネシアの一部を含む」としている。しかしながら、オセアニアの定義の原型は、日本列島・台湾などを除くニュージーランドやオーストリア・フィリピン・西スマトラ・東北ハワイ諸島等々を含む環太平洋地域としている。また、生態系・気候学・地政学上からも違う定義がなされるとして紹介している。その他の定義として「オーストラリアとその近隣の諸島を除く」とされ、最も広義のものは、「アジアとアメリカ大陸に挟まれた全環太平洋の地区で、日本列島や台湾を含む」ものもあるとしている。

 それでは実際、オセアニア(Oceania)は何処でしょう?これは、Wikipediaも正しいかどうか分かりませんし、いろいろな定義があるので、定義を決めてから話を進めるか文章を書くべきとしか言いようがありません。もちろん、大陸でもあるオーストラリアを入れるのといれないのでは話や文書の内容が全然違ってきます。そこで混乱を避けるために、ここで肝心の辞書を引いてみます。もちろんオセアニアはカタカナ英語でありますから、英英辞典で調べます。Oxford Conciseによると、はっきり「太平洋の島々と、その島々の臨海」となっております。諸説があるとは示されておりません。そうするとオセアニアとは、ニュージーランドは含んでも、大陸であるオーストラリアは含まない定義となります。LongmanやCambridgeに至っては、Oceaniaという単語すら載っておりません。あまり必要としない語彙なのでしょう。

繰り返しますが、日本では「オセアニア留学」として、オーストラリアだけのことを示したりしています。しかしながら、私の経験と知識からすると、もともとOceanの意味の「大洋」から来ている言葉なので、太平洋の島々とニュージーランドであり、オーストラリアを抜くのが普通と思います。実際、現代のほとんどのオーストラリア人は、自分はアジア人で、且つオーストラリアもアジアの一部であるという認識を持っております。オーストラリアは、2006年のサッカーでも「オセアニア連盟」から「アジア連盟」に変更されております。そして近年では、オーストラリア人自体がアジア人として、経済的にも恩恵を受けたい、東南アジアと地理学的にも近い地の利を生かして経済活動をしたり、楽しみたいと思っているようです。アジア人であることに何か安心感があるようにも感じます。アジアのリゾートは、赤道近くの浜辺から北海道のニセコまでオーストラリアの観光客でいっぱいです。反対に他のアジア諸国からのオーストラリアへの観光客の数は、欧米諸国の観光客の数を凌いでおります。

確かに米国と旧ソビエト連邦の冷戦時代にはオーストラリア人にとって、豪州は英国連邦の一部で、西側諸国の一員という意識が強かったのは確かです。しかしその後、「東南アジア経済機構(SEATO)」の一員となりました。そして、2009年にはオーストラリアの輸出の半分以上の56%を中国・日本・韓国・インドの4カ国が占めるようになり、輸入の38%は中国・日本・タイ・シンガポールの4カ国となっております。オーストラリアと他のアジア諸国との自由貿易協定(FTA)も増えてきております。また、留学などで特に他のアジア地区からきている外国人を対象とする教育産業が豪州のサービス業の売り上げの第2位となっております。オーストラリア人自体も中国系・中東系・ベトナム系が人口の7%を占めており、他のアジア諸国からの移民も増加傾向にあります。これはオーストラリア政府の比較的緩い移民政策に基づきます。

 「アジアの一員になる」というはっきりした意識は、1990年代初頭から豪州の首相を務めた元キーティング首相の頃から強くなりだしたわけでありますが、現首相のギラード氏に至っては、より積極的であると思います。4月21日の豪州のギラード首相が来日した際の管首相との会議では、ギラード首相がいくつかの震災復興への援助を申出、両国の経済協力についても方針の一致が進められました。この会合の中で、管首相が海外の軍隊で日本への東北大震災の補助活動にあたるのは米国と豪州だけと述べて、アジアの最恵国のひとつとしての親密さを表したようであります。軍隊を自衛隊と称して(あの積極的な軍隊のイスラエルも、ヘブライ語を訳すと自衛隊となるそうです)あいまいな立場をとっている日本でありますが、すでに米豪日安全保障が進められているとはいえ、外国の軍隊を国内で活動させることを承諾するのは、よほどの信頼が無いとありえないはずです。隣国の韓国からも受け入れていないほどですからこの会談を通していかに豪州との信頼が強いものとなったかが分かります。これは、管首相というよりギラード首相の強い意志があったからこそ実現されたものと思います。そしてギラード首相は、すんなりと天皇陛下とのご会談も実現でき、外国の首脳としては初めての宮城県の現地視察・慰問も行いました。但し、震災の復興支援だけではなく、ギラード首相が推すアジア安全保障体制の強化も会談の主眼です。繰り返しますが、この会談を通して、ギラード首相の米国や台湾・東南アジアと並んで豪州も親日国となるための強い意志が見て取れます。確かに豪州と日本の間には捕鯨問題程度の問題しか抱えておらず、親密な国となる下地を秘めているはずです。YouTubeでギラード首相の日本での記者会見の演説を見てみますと、穏やかな話し方ながら日本との強い絆を結びたい意思が見て取れます。

 日本人の情報の供給源は、テレビの日本語のニュースや新聞・ネットのニュースなどを通して知ることが多いですね。特に最も影響力と長い視聴時間を占めるテレビでは、海外のニュースや特集などでは、NHKの「ワールドWave」やドキュメンタリー番組を除けば、米国の大リーグで日本人選手が参加している試合のみを選んで放送するか、「海外で活躍している日本人達」といった特集や「日本にいる外国人(つまり日本に特別に興味があって日本語を覚えた世界的に見ると変わり者の外国人)に聞いてみよう」というものがほとんどで、世界を知るすべは少ないどころか、かえってほんの一部の偏った情報ばかりを氾濫させています。海外で製作された番組はNHKのBSの一部の放送のみに限られております。あったとしても、ネットで興味があるものを検索したほうが良さそうなものを、あえてインターネットから集めた「おもしろ動画」として編集して、『はい、どうぞ』と提供されても余計なお世話という気がするのですが・・・。テレビ番組にはテレビ番組の役割というものがあるはずですが。

ほとんどの日本人は、「情報や人の動きなどに関して世界は小さくなっている。」旨を異口同音で言いますが、彼らの多くは自分自身が時代に後れ世界を見てない井戸の中の蛙であることが分かっておらず、分かっていたとしてもそれを克服しようとする姿を示すことも非常に少ないのです。欧米やアジアのニュースや中東のアルジャジーラ等の海外のニュースは、ほとんどまず世界で起こっている大事なこと、衝撃的なこと、将来大きく変わりそうなことを先に報道し、国内ニュースを最後に加えるのですが、日本のニュースは依然として国内の情報ばかりです。海外のものは「日本」や「日本人」というキーワードを使ってネット上でわざわざ検索してからニュースにしているのかと勘ぐらざるをえない有様です。未だに多くの日本人がオーストラリアはオセアニアの一部と思っていたり、オセアニアをオーストラリアの代名詞に使っているようでは、国際情報に触れてないことの証拠ではないでしょうか。加えて、数少ない親日のアジア国のひとつに対して未だにそういう認識を持っていること自体、失礼なことなのかもしれません。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。